たまさ。が「小説家になろう」で書いているオリジナル小説のweb拍手お礼のページ。
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2011年10月12日 (水) | 編集 |
最近のことになりますが、ブログにカウンターをつけておりました。
それで、そのカウンターの1000hitの方にリクエストを頂きまして、今回魔女猫の三部作が書かれたしだいでございます。

といっても、リクエストの内容は「エイル×ブラン」でした。
それでエイルとブランのお話を真っ先に書きまして、こちらは2バージョンに。
1バージョンの方は、皆さんももうお読みいただけたのでは無いかと思います――番外地の「夜這い」です。

2バージョンの方は「H様リクエスト」ということで、R18目指そうとして挫折致しました(笑)

挫折は致しましたが、私的には「ロイズ好きさんには見せられない」ものだと判断しましたので、色々と葛藤が。

今までお声を掛けてくださった方で、確実にエイル好きという方にのみこっそり直メッセで送りつけようかとまで思いましたが、さすがにちょっと失礼なのでは無いかと思い悩み――結果として、こちらに「なろう」の「非公開」ページのURLを貼り付けることに致しました。

ですので、「エイル好き」さんのみお読み頂ければと思います。

尚、2バージョンということで、冒頭はまんま「夜這い」と一緒です。
半分以下くらいからちょっとかえてあります。

年齢制限など不要であり、隠す必要はないと思われると思いますが、あくまでも「ロイズ好き」さんに見せたくはありませんのでこのような処置を致しました。

そのうちに機会がありましたら、同様の処置で「エイル好きさんには見せられない話」を書きたいと思います。

夜這い・裏っぽいばーじょん。

ではでは、「エイル好きさん」よろしければいらしてやって下さいませ。
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2011年07月15日 (金) | 編集 |
今日はこれから外回りなたまさ。です。
今週来週と本編系等は完全お休みして、他の細々しいことを片付けますので……

わざわざこちらまで覗きに来てくださる方に「おまけ」を。
他にも書き終わっている話をここで掲載しようか迷ってますが……ま、本編散策は二週間休みますので、新しいモンとかアホかと言われる恐れもあるので、やるとしたら「なろう」で非公開であげて、こちらにリンクを張る程度。

こんかいの「おまけ」はしばらくしたら「ギフトパック」に埋め込んでおきます。

では、以下おまけ。

~人生相談~

「まずはじめに言いたい」
 キリシュエータは口元を引きつらせ、冷たい瞳で面前のマイクを睨みつけた。

「どうして私が人生相談など聞かなければいけない!」
「まぁま、殿下。色々と考察した結果、まともな人が居なかったんです」
 どうどうっと馬でも抑えるように彼の副官であるティナンは苦笑した。
「なんでしたらぼくがしてもいいんですが」
「……おまえは駄目だろ。人間的に欠陥がある」
 びしりと付きつけられたティナンは壁になついた。
「難でしたら、クインザム兄さんを連れて来ましょうか?」
「連れてくるな。私はアレが苦手なんだ」
 キリシュエータは思い切り顔をしかめた。
「いつもうっすら笑ってる癖して、絶対にあれは私を敬ったりしていないぞ。あの目だ。あの目が思いきり見下してるっ」
 ぐっと拳を握りしめてクインザムの顔を脳裏から追い払う。

「それはともかく、人生相談を受けるならそれなりに人間として厚みがあるほうがいいのではないか?」
まだぶつぶつと言うキリシュエータ。
彼は若干往生際が悪い。
「じゃ、ぼくが!」
はいっと元気よく手をあげた明るい髪のルディエラを、キリシュエータは冷たい一瞥で押さえ込んだ。
「黙れにんじん。おまえは人間としての厚みも胸の厚みも無い」
「何わけの判らないこと言うんですかっ!」
「じゃ、じゃあ私が致しましょうか?」
 おそるおそる手をあげたのは、ナシュリー・ヘイワーズ中尉だった。

咄嗟にキリシュエータは「いや、胸の厚みがあればいいという話では――いや、すまない。忘れてくれ」出てしまった失言に詫びを入れ、溜息をついた。

「いい。判った。私が聞く」

「とういうことで、キリシュエータ殿下の人生相談のコーナーです」
「ティナン、私が人生につまづいているような説明はいらない。おまえは出て行け」
 しっしとその場の人間を追い出し、もう幾度目かの深い溜息を吐き出してキリシュエータはばしりと机を叩いた。

「相談者、前へ」
 まるで謁見のように横柄さだった。

退場!

***

「……それで私ですか」
 某侯爵嫡男の子爵家に仕える執事、クレオールは慇懃に呟き、指定された席についた。
「クレオなら立派にお仕事をこなせますわよ」
「ありがとうございます。奥様」
「だってクレオは優しくて何でも知っていて素敵ですもの」
 心からの称賛の言葉にクレオールの目元が和む。
それを冷たい目で見つめながら、彼の主であるところのヴァルファムは冷ややかな調子で言った。
「私が引き受けてもいいのですがね」
「あら、ヴァルファム様は駄目ですわ」
 あっさりとファティナは言った。
「だってヴァルファム様は他人の悩みを聞きながら怒りそうなのですもの」

ぐうの音も出ない事実だった。

「……義母うえには何か悩みがあおりですか?」
「私の悩みは。義息がおこりんぼうで時々ちょっと困ります。ほんのちょっとのお散歩も駄目なんて酷いと思いませんか? まるでわたくしがちいさな子供みたいに。それに最近ちょっと義息がナマイキです! もう少しお義母さんを敬ったほうがいいとおもいますわっ」
 ラスト辺りにあまりにも熱が入ってしまったファティナに、ヴァルファムは口の端に笑みを浮かべて腕を組んだ。
「第一に、私を怒らせているのは義母うえの阿呆な行動や発言です。私に問題はありません。あなたを散歩に出すなどとんでもないですね。どこの道端で野垂れるか判ったものではない。私がナマイキ? そんなことはありませんよ。私は十分に義母うえを敬っている」
 きっぱりと言い切るが、腕を組んで威圧的に義母を見下ろすその姿をみれば明らかに敬っているというのは嘘くさい。

 クレオールは額にそっと手を当てたい気持ちになりながら、
「人生相談に人が来ますので、お二人は仲良くしていて下さい」
思わずそう口にしていたが、現在下らない舌戦を繰り広げている二人が聞いてくれていたかはどうも不明だった。

***

「どうぞ」
 クレオールは慇懃な調子で来客を迎え入れた。
「はじめまして」
 通された男は、クレオールと同年代かそれ以上に見えたが、実際は年下だったりする、その名はロイズ・ロック。
 警備隊の隊服に、腰には拳銃を吊り下げた相手は、親しげにクレオールに手を差し出したが、クレオールはそれを受けはせずにただ席を示した。

「それで、どのような相談ですか?」
「いや、初対面の貴方に言うようなことでもないんですが」
――じゃあお帰り下さい。
 内心で思ったところでそれを口にしたりはしない。クレオールの外面はいつも爽やかです。

「うちの猫が……」
「猫が?」
「時々喋るんじゃないかとか……実は中身が魔女じゃないかとか、いや判ってるんですよ。ただの希望とか妄想だっていうのは。判ってるんだが――」

 クレオールはしばらくじっとロイズ・ロックが一人でわたわたとしているのを見ていたが、やがて胸のポケットからピルケースを取り出し、中身を幾つか取り出してにっこりと相手の手に落とし込んだ。
「過労にはお気をつけ下さい」
「いや、あの……」

「では次の人!」

***

「うわっ」
 クレオールは突然自分の面前に現れた真っ白い猫に声をあげ、ついでその猫が女性の姿に変化したことに胸元に手を当てて動揺を鎮めた。

「その猫耳は……オプションですか?」
「悪かったわね! 気を抜くと出っ放しなのよっ。あたしだって好きで猫耳つけてるわけじゃないのよっ」
 ばさりと自らの髪を後ろに跳ね上げ、魔女ブランマージュは足を組んで空中に座るようにして浮いた。

「あたしはブランマージュ、悪い魔女よ」
「悪い魔女? 何か人を呪い殺したり毒薬を作ったりするんですか?」
 素で問い返したクレオールだが、相手は機嫌を損ねたのか顔をしかめた。

「なんで呪い殺したりすんのよ? 魔女は非力な人間を守るのよ? 毒薬?そんなもの作って何か楽しいの?」
 じゃあ何してるんですか?
問いかけようかと思ったが、懸命なるクレオールは止めておいた。

「で、あなたはどうしてここに?」
 穏やかに問いかけると、途端に猫耳が伏せた。

「あたしの中に猫がいるのよ」
「……いや、中といわず外にも出ていらっしゃるようですが」
「うるさい! この猫耳と尻尾のことはもうほっときなさいよっ」
がうっと噛み付き、けれどすぐにブランマージュは肩を落とした。

「とにかく。あたしの中に猫がいるの。それで分離しなくちゃいけない訳なんだけど! やりかたが難しいのよっ」
 失敗したら色々危なそうだし。
と切々と語られたところで、執事であるクレオールといえど、魔女の生態などわからない。
「魔女の研究者とかに助力を仰いでみては?」
「――それ、もうとっくにした」
「役に立ちませんでしたか?」
「現在進行形で研究対象になってるけど……最近怖いのは、体内で猫の体を再構築して体外に取り出す方法とやらを考え付いたみたいなんだけど、うっかりしてると実践しようとするのよ」
 あの野郎っ。と拳を握り締めるブランマージュに、クレオールは「何か問題ですか?」と問いかけた。

「問題は大ありよっ! ようはあたしが妊娠出産してみればいいっていうのよっ。
信じられる? 魔女なのよ、あたし? しかも、妊娠出産って、一人でできるもんじゃないでしょっ」
「はぁ……」
「あのぼけなすの子供なんて生みたいものかぁっ! 悪魔類鬼畜目なのよっ。てか、あのボケは猫の子でいいのか自分の子がっ」

 なんだかやたらややこしい話になり、意味がつかめず困惑したクレオールの前で部屋の扉が無遠慮に開き、黒髪の青年が顔を出した。
「ブラン、こんなところで油を売るな。研究時間が減る」
「今日は休みって言ったでしょーがっ」
 言いながら、突然魔女は白い猫へと変化した。
途端に青年の黒灰の瞳が陰り、口元に皮肉な笑みを刻みつける。

「そうやっていつまでも猫の姿で逃げていられると思う程愚かではあるまいに」
「さすがに猫は襲えないもんねー」
「人を変態扱いするな」

 猫をつまみあげてさっさと退場する相手を見送り、クレオールは無意識に自分のポケットを撫でた。

 煙草吸いたい……――

***

「あの、いいですか?」
そっと【人生相談】の扉をたたいた少女の姿に、クレオールは表情を改めた。
――どうでもいいです。
 と内心では思っているが、とりあえず仕事であれば完璧にこなす自信はある。

「どうぞ」
「はじめまして、リドリー・ナフサートと言います」
 ぺこりと頭をさげた相手は十代の後半辺りと思われる「そのへんにいそうな庶民」的な雰囲気をかもしまくった少女だ。
 リドリーは示された椅子に座り、どう口を開こうかと思案している様子がほのぼのしい。クレオールは先ほどまでの疲れを飛ばし、
「何か相談ごとがおありですか?」
と、やんわりと促した。

「相談というか――あの……」
 リドリーは視線をさまよわせ、けれど意を決するようにやっと口を開いた。
「好きな人が、いるんです」
 思わずクレオール自身照れてしまいそうになった。

リドリーは膝の上においた手をもそもそと組み合わせたりつまんだりしながら「好きな人がいるんですけど」と続ける。
 なんか可愛い――クレオールが笑いたいような気持ちに浸っていると、彼女は言った。

「変態なんです」
「……」
「相手が変態なんです。で、相談というのはですね。明らかに頭のおかしい変態を好きというのはあたしも変態なんじゃないかという大きな問題に直面してしまったのです!」

あたしは変態でしょうか?

と、半泣きの顔で訴えられてしまったクレオールは鎮痛な気持ちになり、一瞬言葉を詰まらせた。
「変態というのにも種類があると思いますし……もしかしたら、貴女が思う程相手の方は変態ではないかもしれませんよ? 思い込みじゃないですか?」
 それを言うならうちのヴァルファム様も変態と言えなくも無い。
だが、ヴァルファムを好きだから自分も変態という方程式は成り立ちそうには無い。
 思いのままに告げれば、けれどリドリー・ナフサートは少しばかり納得仕切れない様子で眉根を潜めた。

「そうでしょうか?」
「そうですよ」
「……変態じゃないのかな?」
「そうですよ。きっとあなたの強い思い込みです」

 リドリーは益々眉を潜めてぶつぶつと口の中で繰り返したが、やがて息をついて「そうかもしれませんね」と無理やり納得した様子で立ち上がり、ぺこりと頭をさげた。
「ありがとうございました」
「いえ。その相手の方とどうぞお幸せに」
 クレオールが見送ると、リドリーは更に眉間に皺を寄せまくっていたが、そのまま退出した。

***

「ああ、今の方で最後ですね」
 予定されていた相手が全て終わったことにやれやれと呟いたクレオールだが、実質人生相談として何も解決していないことは気付いていた。

どうでもいい――

という理念で彼は他人の行動など気にしない。
片付けをしてしまおうと思ったクレオールの面前に、一人の青年が立っていた。
阿呆な魔術師のような格好で。

「……」
思わず言葉を失うクレオールに、相手は頭に乗せてあるトップハットをひょいっとつまみあげて礼をした。

「こんにちは」
「……こんにちは。えっと、あなたは?」
「さっきリトル・リィ、リドリー・ナフサートが来てたでしょ? どんな相談だったか教えてくれる? ぼくのこと言っていた? ぼくが好きすぎて困ってなかった? ぼくのことならぼくに相談してくれればいいのにね?」

 ではコレが彼女曰くの変態か?
クレオールは眉間にちょっとばかり皺が寄るのを感じた。
変態というか、変人?

「ついでにぼくの相談も聞く?
あのね、ぼくってばリトル・リィの為なら三日三晩励める自信があったんだけど、一晩で三回続けてすると実際は結構体力的に色々大変だということに気付いたんだよ! ちょっとインターバルが欲しいし、三日続けてってちょっときっつい。ぼくも年かな? それにね、自分で仕方なくすますのと愛するハニーをせっせと抱きながらするのとは色々と違う訳でしょ?
 一回づつちゃあんとリトル・リィだって気持ちよくなって欲しいし。やっぱり鳴かせたいっていうかさ、わかるかなー」

だらだらと相談なのかよく判らない戯言を実に楽しそうに吐き出し続ける男を前に、クレオールは内心で呻いた。

――変態というのは思い込み。

思い、込み……?
 
クレオールは瞳を伏せてとりあえずこの仕事は自分には向かないことを悟った。
 



***

出ているのは、
【王道で行こう!】キリシュエータ殿下、ティナン兄ちゃん、ルディエラ。
【W/H】ナシュリー・ヘイワーズ。
【陽だまりのキミ】クレオール、ファティナ、ヴァルファム。
【あたしの魔法使い。】リドリー・ナフサート、変態。

でしたー、全員わかった?

うおっ、追記!
【魔女と白い猫】ブランマージュ、ロイズ、エイル。
……やばい。
自分が色々やばい。


2010年10月31日 (日) | 編集 |
某M氏のコメで思わず書いてしまいました~

***
 ティラハールはばさりと飛び立ち、彼女の定位置であるソファに着地した。
ブランマージュが気を失ったことで、その場の全ての緊張が解かれ、拘束されていた男達も自由を取り戻す。
ブランマージュの体を抱きとめたのはエリィフィアだった。
「隊長殿、その子の面倒頼めるかしら」
少し楽しげに、その子という大魔女の口調には愛情が垣間見えた。
戸惑うようにロイズはこくりとうなずき、それまで無理やり押さえつけられていたからだを一度ふるりと震わせてブランマージュの体をエリィフィアから受け取る。
エリィフィアは、隣にある自分の寝室の扉を示した。

「魔導師、あなたはちょっと話があるわ」
エイルは不愉快そうに眉をひそめたが、うなずき、何を思ったのかソファにいるティラハールを持ち上げた。
 それは小さな威嚇音を発したが、それだけだった。

【ティラハール、ロイズについていろ】
接触会話がティラハールに伝わる。
【気の流れは落ち着いた。あやつに触れてなくとももう良い】
【アレが無駄にブランに近づかないように見張れ。邪魔をしろ。あとで魔獣を幾つか届ける】
【――草食系がいい】

……なんていう取引があったかもねー。
それでティラはロイズがブランに構うものだからちょっとはじめてカチンときたかもねー

なんて書いてみる(笑)

2010年09月30日 (木) | 編集 |
甘い、甘い匂いが誘いをかけた。
カラメルのふんだんに使われたプリン。チョコレートを混ぜこんだ生クリーム。こんがりと焼けたシナモンと甘い蜜の香りがたっぷりとした焼きりんご。
 空腹だった訳ではない。どちらかといえば腹は満たされていた。だが言うではないか、デザートは別バラ。

甘くてとろけるようなその香りの誘いに意識を集中させ、出所を探って飛び込めば――

 そこは古臭い屋敷の屋根裏部屋。
そしてちまっこい糞餓鬼が、それこそ乳臭い糞餓鬼が、ありえないような材料を使って召喚なんぞをしでかした現場だったという訳だ――

このオレ様を! この偉大なる大悪魔のオレ様を、トマトとほうれん草とジジィの白髪なんぞで!!

ふざけんなっ! ぜってぇ許せねぇっ。

 オレ様は偉大なる大悪魔!
生憎とうかつに召喚なんぞされちまったオレに名前はない。
門をくぐったその時に剥奪されたのだ。

くそったれ!

***

「時間が無いって言ってるじゃないっ」
「遅刻するのはファウリーがもたもたしているからだろうに」
 呆れたように言いながら、お隣のレイシェンはそれでもファウリーの栗毛の髪から手を離さなかった。
「髪なんてほっとけばいいでしょ」
「駄目だよ。女の子なんだからちゃんとしないと」
「もうっ! 切るっ、絶対に切る。首筋まで切ればさっぱ――」
 ばたばたと足をばたつかせながら苛々と叫ぶと、ぐいっとレイシェンはその髪を引っ張った。
「切ったらもっと魔力が減るかもね」
「――」
「ファウリーはそれでなくたって魔力値も少ないし、ぼんくらなんだからさ。昨日も召喚術の時間に大量のワカメを出したんだって?」
「……」
「ま、ミセス・ハーヴィは褒めてるけどね」
ぱっとファウリーの顔に喜びがさした。
「本当?」
「食費が浮くから」
「……」
「キミの海産物シリーズはある意味素晴らしいよ」

ファウリーは唇を尖らせ、ぱしりと自分の髪をいつまでも編みこんでいる男の手を払った。
「レイの馬鹿!」
「まだ編込みが途中だよっ」
「知らない!イーダ!」

 駆け出し、途中で振り返って思い切り歯をむきだしにしたファウリーは、身を翻してそのまま石畳の坂を駆け上っていってしまった。
せっかく丁寧に編みこんだ髪を、走りながら乱暴に解いていくのが見える。
 それを眺めながらブラシについた髪を丁寧に引きぬき、ガラスの器の上で火にかけながらレイシェンは肩をすくめた。
「ほら、髪の毛一本にも意識を向けないファウリーは召喚士だとか魔導師なんて向かないんだから」
「では、何が向くのかね」

窓から二人の様子を眺めていた白髪の混じる初老の男は、やれやれというように声をかけた。
「そりゃ勿論、医療魔法師の嫁でしょ――それは素晴らしい嫁になるよ。なんといっても食費が助かる」
「……ハっ、昔から不仲な癖に」
「仲良しですよ、昔っから仲良しだし大事にしてるじゃないですか」
 レイシェンはけろりといいきり、自分では爽やかだと思っている微笑を浮かべた。
「では、お祖父さま行って来ます。早く行かないとファウリーの髪を直してやる時間がなくなってしまうから」
「まだおまえのジジイになった覚えはない」
「今更ですよ――棺桶に片足突っ込んでるジジィにさっさと曾孫を抱かせてやろうという優しい孫婿を敬いなさいよ」
「だからおまえのジジイになった覚えはないし、本当につくづくおまえはえげつないよな」

 そんな二人のやりとりを更に高い場所から眺めながら、オレはケっと舌を打ち鳴らした。
八つでオレ様を呼び出しやがった小娘は、先日十六になった。学校とやらに通い、自由選択の授業では召喚コースに通ってやがる。
 だが、当然あいつがまっとうに召喚などできる訳はない。
――なんといっても、オレがその召喚門を閉ざしているからだ。それでも親切なオレ様はあいつが召喚をするときにはきちんと手伝ってやっている。

昨日は大量のワカメを出現させてやり、教室中を失笑の嵐にしてやった。

その前には大量のサザエを落としてやったら、教師は目の色を変えていた。今回のワカメは傑作だと思ったが、どうやら教師にはウケなかったらしい。
「せめてコンブならねぇ」とぼやいていた言葉をオレはしっかりと聞き漏らしたりしなかった。役に立つものを呼ぶ気はないね! オレのコレはあくまでも、あくまでも復讐なのだからなっ。

 ファウリー! このちんくしゃの糞餓鬼!

オレは激しく根に持つ性格だ。ざまぁみろっ。
おまえを地獄に叩き落してやる!

レイシェンの嫁だとっ? 馬鹿めっ、おまえを幸せになどしてやるものかっ。どんなささやかな幸せもびしびしと叩き潰してやる。

オレは大悪魔だからな!


***

はい、悪魔バージョン。
ファウリーは悪魔にとりつかれていることに気づいてません。

レイシェンの嫁が果たして幸せかどうかは謎。
プロポーズの言葉は「海産物は大好きだ」だったらどうしよう。

暇つぶしに面白いのですが、召喚は深く考えてないのできっと続かない。
悪魔の名前も考え付かないですし。
あくまでも暇つぶしネタって感じですね~

2010年09月25日 (土) | 編集 |
召喚魔術。
金色の飾り文字で書かれたぶあつい本の表紙を指先で何度も撫でる。
物見高い叔父の蔵書から引き出した一冊は、幼い子供の心に激しい好奇心を呼び起こした。
その場にないものを召喚する。

 知らないもの、知らない生き物。
本の中には色々な情報がひしめいているが、生憎と難しい文字が多すぎて理解できないところもある。
 それでも、必死になって解読した文字をつなぎ合わせ、そうして屋根裏に少しばかり不恰好な魔方陣を描いた。

心臓がどきどきする。
「えっと……あとは」

必要ものはカエルの干物とトカゲの尻尾。猫のヒゲとジキタリスの葉になんだか判らないレッドシェル。レッドというくらいだから赤いものに違いない。ということでトマトを用意した。ついでに猫のヒゲは切ったら可愛そうだから、じいちゃんの白髪で代用する。ジギタリスの葉が理解できなくて、「レイ、ジギタリスを頂戴」とお隣のレイシェンにお願いしたら、笑顔で頭を殴られた。

だからジギタリスはほうれん草で代用。

「よし!」
準備はできた。
その全てをすりつぶしてどろっどろにして煮込んだ液体は激しくイヤな色をしているし、においもかんばしくない。けれどもそれに、更に――

「イキチ……」

生き血、だ。これってつまり、この自分の腕に流れているどくどくとした血。
顔をしかめながらそれでも勇気をもってナイフを掲げた。
ぷるぷると震える手で、そっと、そぉっと指先をぷつり。

「いやぁぁぁん」
ぷつんっと切れた指から血が流れ、咄嗟に自分の口でちゅーっと吸いそうになってしまったけれど、違う。ちがーう。違うのよ。

 謎の液体にぽとりと落とす。
いっぱい入れたほうがいいかもしれないけど、もう駄目。
我慢できなくて指先は口の中に入れた。

さあ、召喚の為の準備はできた。

若干八つの稀代の魔術師(自称)ファウリー・メイは嬉々として本を片手に呪文を唱え、そして問題の液体を仰々しく魔方陣にぶちまけた。

「さぁ、あらわれなさい! 暗黒の獣。紅ドラゴン!」

 そしてあの憎っくき、レイシェンを踏み潰して。
ぽわんとひろがる煙。ざわざわとざわめくその期待感にファウリーは瞳をきらきらと輝かせて叫んだが、すぐにその異臭を放つ煙にげぼげほとむせかえり、涙交じりに身をよじった。

 必死に目じりの涙をこすりながら煙の向こう、そこには大人程の大きさの何かの存在を確認したが、あまりの目の痛みにぎゅっと目を瞑ってしまった。 
白い煙が立ち消えて、そしてその場に現れた召喚獣にファウリーの笑顔はゆっくりと凍りついた。
「……あれ?」

びちびちと奇怪な動きの生き物は……手のひらサイズのタツノオトシゴ。

「たつ?」

ぴちっ。

「……竜《たつ》?」


***

暇つぶしに「世の中は召喚だ! 召喚をテーマに王道をすすもうっ。たまには」な感じです。
書きながら設定を考えました。

八つの小娘が始めて召喚したのはタツノオトシゴ――ではなく、悪魔。
しかもでたらめな召喚で無理やり呼び出された悪魔は、以後小娘が何かを召喚しようとするたびに、奇妙な海産物を魔方陣に出現させるという阿呆な報復活動にでる。

毎日毎日小娘を見ているが、小娘の前に出ることはない。
そのうちに「なんでこいつオレ様に気付かないわけ!?」な感じで苛立って、小娘の成長に合わせて色々心配性になって、ついでご近所のレイシェンが小娘の頭をでこぴんするだけで激怒するようになる。

なんて妄想しながら書いてました。

召喚です。王道です。王道?

そうですわたくし年齢差が大好きです!

……ま、召喚というネタは私にはムリだな、と思わせてくれた一品。




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