たまさ。が「小説家になろう」で書いているオリジナル小説のweb拍手お礼のページ。
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2011年12月10日 (土) | 編集 |
おはようございます。
同じ魔法使いでも、まるがつてる方が相変わらず私のストレスですね。
もういいやー



ってことで、ストレスのない作品で遊んでみました。

以下、違いが判るかな?

魔法使いの嫁(遊んでみた)

***

 玉音放送が戦争の終結を知らしめた夏の暑い日は遠く――けれど、戦後の混乱は未だ山深い農村の中で小さな、ほんの小さなくすぶりを見せていた。
「タエちゃ、東京さ行くだか?」
 列車で仕事を求めて幾人もの若者が東京へと流れていった。その流れに、タエも乗るのかと友人に言われた時、「おら、しんね」タエは言葉を濁らせた。
 タエの家族は先の戦争によって誰かを失うことは無かった。
先日の列車で徴兵されていた次男も帰宅したし、長男であるという理由で赤紙を放免できるようにと駆使していた長兄は、跡取りという自分の立場を無視して最近東京に出稼ぎに出てしまってはいたが、幸い元気だ。
 タエ自身、できれば田舎から抜け出して華やかな――といったところで、未だ混乱の続いているといわれている東京に行くのが決して安全というものではないことくらい、承知している――都会にも憧れる。
 ただ、せっかく戻った次兄にばかり負担を強いるようで言いにくいのだ。
軽く流せばいいものを、タエは生来の生真面目さでその場を誤魔化し、溜息をつきながら山へと分け入った。

 裏手にある山一帯はタエの祖父のもので、タエの家は地主ということになる。
だが、所詮田舎の地主。山があろうととくに富深いわけでもない。
だがもたもたとしていれば、きっとタエは父なり兄なりによって夫を定められ、嫁すこととなるのだろう。
 暗い時代は終わりを告げた。
ならば少しくらい明るく、楽しい思いを夢見てもいいではないか。恋愛結婚ができるとは思っていないが、それでも一度くらい素敵な恋とやらに触れてみたい。
 最近この辺りでも流れてくるようになった少女雑誌に影響されてか、タエはそんな夢想に頬を染めていた。

 雑草の間を分け入り、自分の木綿のもんぺに張り付くひっつき虫に辟易としながら、タエは三日前に仕掛けたウサギ罠のある目印の木の元へと近づくと、そこにウサギではなく――厄介な獲物が引っかかっていることに顔をしかめた。
「……生きとるんか?」
「はぁ、かろうじて」
 がっつりとウサギの足をはめ込む噛み歯が足を捉えている。人間の足だ。
今まで色々な獲物が引っかかっていたことが何度もあるが、さすがに人間が捕まっていたことは一度もない。
 タエは深々と嘆息し、身をかがめた。
相手は足をものの見事にウサギ罠にはめられ、気力を失った様子でぺたりと地面に座っている。
「こだらもん、なして取らなかったね」
 文句が出たのは、こんな罠――人の手であれば容易く外れてしまう為だ。
「いや、もし厄介な魔法が発動したら困るなーと思って」
 とらわれている男は「ははは」と乾いた笑いでおかしなことを言う。タエは眉を潜ませたが、さっさと罠から相手の足を引き出し、傷ついた足に更に溜息を吐き出した。
 ぎざぎざの歯が食い込んだ場所が傷つき、血を流してはいるものの――すでに乾いている様子から言えば、罠にはまって一日はたっているのだろう。
 しゃがんだまま相手の顔を覗き込み、タエは更に自分が厄介ごとを背負い込んでしまったことに気づいた。

 髪の色は濃いブラウン――日本人として無いとは言い切れないが、相手の瞳は鮮やかな青だった。
 山の逆斜面にある小さな湖畔の色。それも朝一番の太陽を反射して輝く湖畔の色だ。
 ぶわりと浮かんだのは恐怖よりも、綺麗という単語。けれど、異人の恐ろしい話は幾つもタエの中に沈み込んでいる。
 異人は――鬼とかわりない。
「異人がこげなとこで何しとるね? まさか、山荒らしじゃなかと?」
「ヤマアラシ? えっと、俺は人間だけど」
 よくよく見ると、あまり見た事もないような立派な装束の異国の男は、じっとタエを見返してくる。
 あんまり不躾に見られ、タエは思わず視線を逸らした。
「せつねことぉ、ここはうちとこの山さ。怪我したんはおめさが勝手に入ったからじゃなかとね」
 早口に言ったのは、このことで何か問題がおこっては困ると思った為だ。
この田舎には戦争の影響はほとんどといっていいほど無い。戦争中には食料を奪われ、鉄を奪われ、人すら奪われはしたけれど、戦前、戦中、戦後の今であっても異人が暴れまわることも無い。だが、それでも自らの国はこの異人に敗れたのだ。
 そう思うと、ぞっとしたものが身のうちに湧き上がった。
 慌てて立ち上がろうとするタエの手を、相手の手がすばやく捉えた。

「あのっ、ごめんなさい。行かないで」
「おめさが怪我ばしたんは、おめさが人の山に勝手に入り込んだからじゃ。うちとこが悪いんじゃなか。おめさもさっさと出てきっ」
「あのっ、何かご飯下さい」

 ぎゅるるるぅっとなさけない腹の音に、タエはぎゅっと拳を握り締めた。
早く、一刻も早くこの異人を追い出す為にはまずは食料。
 これから自らに降りかかる災難を回避すべくとる行動が、全て裏目に出てしまうとは、年若きタエは気づいてはいなかった。
「この先、ちっといってとこに、掘っ立て小屋があっから。そこでちーっと待っときぃ。握り飯くらいなら用意してやっからな」
 白米はいまだたいへん貴重だが、異人に難癖をつけられてはたまらない。次兄から聞いた話には、とても信じられないことに「捕虜とした異人に情けをかけて、滋養がつくように牛蒡を与えた者が、木の根っこを無理矢理食わされたという捕虜の訴えにより、処罰された」というのだ。
 タエは身震いしながら、どうにか穏便にこの異人に帰ってもらえるようにと願っていた。

***

 ころりとドーンの大きな手のひらの中で銀の指輪が転がる。
「この指輪には精霊が封じられている」
 ゆっくりとした説明は、風香の耳にもきちんと届いた。
同時通訳をしてくれる指輪は、どうやらドーンが手にしている時には風香の言葉をドーンへと翻訳して届けてくれているようだ。
「精霊……」
「われわれが使う魔法は、精霊魔法だ。精霊に対価を与え、その能力を貸してもらう。この指輪には精霊が封じられていて、主の命令の通りに動いている」
 言いながら、ドーンは自らの手の平の上の指輪を掬い取り、風香の左手の薬指にすっとその指輪をはめ戻した。
「この指輪には、ここに戻る為の術印が刻まれていたのだろう。だが……ひとつだけ判らないことがある」
 ドーンはふっと視線を伏せた。
「何故、ヴィストは戻れるのに戻らなかったのか」
 重苦しい言葉に、風香は指輪の輪郭をなぞりつつドーンの言葉に瞳を眇めた。
「戻る気に、なれなかったのか」
 苦悩を滲ませる言葉に、風香は眇めていた瞳をぐるりと回し、天井を見た。思い悩んでいる様子のドーンには大変申し訳ないが、祖父ちゃんが戻らなかった理由など簡単に推察できる。
「私が――」
「ものすごく深刻そうなところ申し訳ないですけど、単純な理由だと思います」
「風香?」
 気げんな様子で視線を向けられ、風香は目元に掛かる髪をかきあげ、ふと苦笑を浮かべて左手を包むように祖父ちゃんの指輪をなぞった。
「祖母ちゃんがいないから」
「ばあちゃん……」
「あ、この場合の祖母ちゃんは、祖父ちゃんの奥さんのタエさん」
タエさん、そう名前を風香が告げた時。
ふいに風香の指――薬指の指輪が熱を持ち、風香はその熱に慌てて指を凝視した。

『ヴィー』

 その場に響いたのは、確かに祖母――タエの声で、風香は思わず指輪と、そして辺りとを確認するように視線をめぐらせた。
『ヴィー、おめさええ加減厠までこねでけろ』
え、何これ。
『ヴィー、ほだらことせんとっ、せつねかっ』
「祖母ちゃんの声っ」
 祖母ちゃんの――おそらく若い頃の祖母ちゃんの声が優しく、柔らかく降り注ぐ。驚愕に瞳を見開くと、ドーンが静かに応えた。
「この声の主が、ヴィストの妻――私の義姉か。指輪の中に生前の声を残し、ヴィストは大切にしていたのだろう」
 その言葉に、風香はじわりと胸に漣がたつのを覚え、しんみりと指輪をなぞった。
祖父ちゃん、確かに頭おかしいくらい変な祖父ちゃんだったが、きっと心から祖母ちゃんのことを愛していたに違いない。
 一人でこっそりとこの祖母ちゃんの言葉を耳にしながら、祖父ちゃんはきっと何度も何度も祖母ちゃんを呼び、一人寂しく――

『やめていうてるやろうが? なしてそげなことっ』

「……」

『あ……っ、あ、やめっ、やめてけろっ』

「ちょっ、これどうやってとめるのぉぉぉ」

祖父ちゃん死ねぇいいいいっっっ。
大気圏に突っ込んで灰すら消滅しろっ。


***


訛りは、うちの親戚の訛り。
間違えてるかもしれませんが、さらりと「訛り」というくくりとして流してやって下さい。
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2011年08月20日 (土) | 編集 |
夜中に蚊に刺されて目覚めたおかしなテンションMAXなたまさ。です。

おかしなテンションでおかしな絵を描きまくり、しかもおかしな話のネタが浮かんだけど、絶対に「物語」に構築されないのでここにてネタを投下なう←本当に頭がおかしい。


***

「あーるぴーじー」
 口からこぼれた言葉がいかにもアホっぽかった。
ゲームのやりすぎか、はたまた悪夢のはじまりなのか、面前に広がる「いかにもドット」な世界。

「うわー、64ビット」
しかも微妙!
いっそすがすがしく8ビットな世界に行きたかったよ、ははははは。

いや、夢だ。
超リアルな夢だ。若しくは最新型体感立体ゲーム。ばーちゃですね!
って、だったらもっとCG使えっつぅんだ、糞野郎。

あああ、視界の端っこにステータスバーがあるよ。
もうやだ。

「って、あれ……すげくね?」

俺は思わず声をもらし、自分のステータス(って何だよ?)をしっかりと観察した。

経験値99、MP9999 HP9999

「すっげぇぇ! 俺、超つえぇんじゃね? 何コレ。しょっぱなからラスボス?いけんじゃねっ?」

まさに俺の心はテンションMAX。
何か知らんが、この世界を俺様色で染めてやるぜっ、と思ったのもつかの間――

俺がその事実に気付くのにさほどの時間は必要としてなかった。

「宿屋に泊まってもステータスが回復しねぇ! 回復系呪文いっさいねぇってどういうことだ?」

仲間か?
仲間を集めろって……どいつもこいつもどうして武闘派なんだよ!


***


ラスボスのとこにはきっと回復に強い姫様がいるよ。
そのかわりラスボスのとこにつくまでにHPが無くなるかーもーねー

という、おかしなネタが浮かんだので投下。
浮かんだはいいけど絶対に自分では手がけないタイプですね。うん。

ああ、やっと蚊にさされた指先の腫れ(ぷっくりぱんぱん)が引きました。
これでやっともう一度練寝れそうです。

おやすみなさい。

2010年09月15日 (水) | 編集 |
って、コトで「つづき」です。

***
(報復活動)

あたしは浮かれだくった。
これはスゴイよ。エイルが物凄い偉大にみえるぞ。
褒めてやる。遠慮はするな。

鏡、鏡ないかしら?
今のあたしってどれくらい? 結構大きくなってるわよね?
あらあらあらん、けっこう良いんじゃないの?
「ブランマージュ」
「ん、なに?」
あたしはきょろきょろと鏡がないかと探していたが、もとよりここはエイルの執務室。エイルの仕事場。そんな気の利いたものがあろうはずもない。

呼ばれたものだからそのままエイルを振り仰ぎ――
あたしは油断していたのだ。
だってそもそもこの根暗陰険魔道師ときたら不機嫌だった。更に拍車を掛けた怒らせた自覚もあったというのに、あたしは自分の体がいつもより大きくなっていることに浮かれきっていて忘れていた。
 完全に油断していたのだ。
つまりコレは――嫌がらせ。
「返せ」
言葉と同時にぐいっと腰を引かれて覆いかぶさるように身を寄せてくる。
抗議の声をあげる間もなく、エイルの唇があたしの唇を塞いだ。


なんでだーっっ。
ここは始原の森じゃないぞっ。あの島じゃないからなっ。
暴れるあたしの体が逃れようとじりじりと背後に逃げる。そうはさせまいと思うのか、、エイルの腕の力がこもるし、やけに唇に力が入る。
 まるで馬面がそうするようにあたしの唇がこじあけられてエイルの舌先が歯列をなぞれば、あたしは声無き悲鳴をあげた。

ぎぶ・ぎぶあっぷ。
ぎゅっと相手の胸を押す。
頭が混乱する。
 腰にまわるのとは反対の手があたしの顎のあたりをつかみ上げ、力でもって口をこじ開けられた。
まてまてまてっ、魔力を取り戻すならもっと穏便にしていただきたい。
ごめんなさい。あたしが悪かった――いや、悪いのか? よく判らない。判らないぞっ。
 ぴちゃりと身近で水音がして、それを耳に入れた途端に背筋に冷たいものが走った。

魔力の受け渡しっていうのはそういうのも込みで必要なのか。おまえは馬面か!
意識がもっていかれそうになるのを必死で留めていれば、あたしは近くにある寝椅子にかくんっと足をとられてそのまま寝椅子の上に背中を打ちつけていた。
 寝椅子のクッションが背中を支える。
その衝撃でやつと唇が離れてほっと息をついたというのに、自由は未だ得られず、自分の上にはエイルがいる。
 冷たい灰黒のまなざしが一旦あたしを見つめ、沈む。
まて、まてこら!
こちらの動揺も拒む手も全てを無視して、エイルは獰猛な獣が食事でもとるように唇に喰らい付く。
意識が霞みそうになる。
……完全に酸欠だ。
 あたしのどこか冷静な部分が言うのに、あたし本体は逃れられない現象に翻弄されるしかない。
やがて苛立ちばかりを孕んでいたエイルの雰囲気がやけに落ち着いて、優しさが含まれる。
自分の口の中をエイルの舌がなぞる感触に背筋があわ立ち、時々できる口の隙間から切れ切れに吐息と小さな悲鳴が零れ落ちた。

獰猛な雰囲気が柔らかく変化して苛立ちばかりをぶつけていたものではなくて、酷く優しく扱われればあたしは自分の吐息すら甘くなるようで羞恥に腹の底が冷えた。
やっと唇が離れた途端、あたしはあえぐように息をつき、胸の動悸がエイルにばれなければいいと願った。
 黙れ心臓!

なに、なに、なんなの!
こんな……――え、なにこれ?
なんでこんなことになってるの?

 エイルの瞳が少しうえから自分を見下ろしている。
それが無表情で、あたしはカっと自分を取り戻した。
「おまえぇぇ」
あたしが恨みがましく低く声をあげれば、エイルはそのままあたしの肩口に顔を移動させて耳元で囁いた。
「眠い……」
「っっっ」
寝ぼけか!
おまえ、おまえっ、寝起き悪い人間だろうっ!
そうだ、そうだった。こんなことは前回もあった!
寝起きではなくて、寝入る時が最悪なんだろうっ。
子供によくあるんだぞっ。寝ぐずりって言うんだっ!
睡眠不足か、このやろう!

ぎゅっとあたしの腰を抱いて深く息をつくぼけなすの姿に、あたしはその体の下で怒鳴った。
「寝台で寝ろっ!」
ふーざーけーるーなーっ。
あたしの怒鳴り声に一層強く抱きこまれる。

あたしは枕じゃないからなっ。
「このまま寝る」
だからっ、
「っっあたしは枕じゃないっ」
あたしだってね、人間抱き枕がどれだけ寝やすいものかは承知してますよ。程よい体温と心音がどれだけ安堵するか知ってる。
あたしが枕として使うぶんには構わないが! あたしが枕にされるのは我慢ならーん。
「頼む」
耳元で囁かれる言葉に、あたしは苛々としながら歯をかみ締め、やがて諦めた。
「……」
――不機嫌状態のままなら蹴飛ばしてやるけど、頼むとか言うし、なんだか機嫌なおってるしさ……まぁ、いいわよ。少しならね?
あたしは溜息をつきながら、
「せめて寝台に移動! ここ狭いっ」
と文句をつけたが、エイルは苦笑するように囁いた。
「――勘弁してくれ」
それはこっちの台詞じゃないのか!?



***

エイルがキャラ違う。
可愛いくないか、オイ。
というのがボツ理由でした。

ぼーーーーーっつ!

日々こんな風にボツは作られ、そして抹殺されるのでした(笑)
喜んで頂けましたでしょうか?

2010年09月14日 (火) | 編集 |
以下は、始原の森のラストでロイズが「会いたかった」という台詞に、ブランが、

「別に会いたくなかったわよ。なんたって毎日見てたもん」
と返したという設定で書かれていた始原後の話。
(数話分完全にボツとして抹殺した)
当然ロイズは上機嫌――それでもってエイルは、というハナシ。

完全ボツハナシでお送りさせて頂きます。

***

(睡眠不足)

これはいったいどういうコトでございましょうね?
翌朝――あたしは一応エイルの邸宅を訪れた。

ロイズは翌朝元気に仕事に出かけた。
あたしの首輪がなくなっていることに驚いていたが、魔道が施された首輪がどういったものであるのかイマイチ理解していないロイズは、
「どこかで引っ掛けたのか? 引っかかったまま抜け出せなくなったりすると大変だからな。まぁ、むしろ外れて良かったが」
などと言っていた。
――魔道の首輪が普通簡単に外れるものか、阿呆め。

これが外れたのは、ちょっと体調の悪かったエイルが魔道の調整を誤って焼ききってしまったのだ。
 ああそうだった。なんだかんだで忘れているけど、エイルって実は体調が良くないんだよね。少し診てあげないと。
そうそう、エイルの家に行かないとね。
玉子がまだ放置されたままだ。
エイルは疲れているだろうから、まぁ、とりあえず玉子の転送処理だけはしておこうと思ったのだ。

ロイズの邸宅には目くらましにタオルでそれらしく作った猫人形をおいておいた。魔法で目くらましもかけてあるので、侍女が半狂乱になることはあるまい。
偉いな、あたし。
気配りのできる魔女だよね。
誰も褒めてくれないからとりあえず自分で褒める。
まるで善い魔女のようだが、あたしは立派な悪い魔女ですよ! 
異論は認めません。

「もしもーし?」
エイルさん起きておられました。
いつもの執務室でむっつりと何事かの魔道式を計算している。まったくあたしには判らない数式がずらずら並ぶ。
そしてダーリン。

目つきが悪いです。

「なんだ」
ものすっごい不機嫌駄々漏れです。
あれー?
「あのですね、人間にして欲しいのですが」
「……」
えっと、寝不足ですか? 
でしたら寝た方がいいですよ。人間にとって睡眠は大事ですよー、でもできれば先に人間にしていただけると、玉子の転送ができます。
猫だとムリなのよ?
あんまり怖すぎてさすがのあたしも低姿勢。

もともと身長の低い猫だけどね?

エイルはやたらと冷ややかで、そして不機嫌だった。
冷気と一緒にどろどろとした負のものが出ています。時々おまえは人間ではなくて魔物の一種なんじゃないかと思うんだが、どう思うね?

「何か、いやなことでもあった?」
「――隊長殿がやたらと機嫌が良かった」
「良かったじゃない」
二人でむっつりしているよりも片方だけでもにこやかなのはいいことよ? どうせあんたはいつもと同じ、冷ややかにしてたんでしょう?
 そんな状態でロイズまで不機嫌だったら最悪だ。
その場には絶対にいたくない。

「あまり不愉快であったからさっさと落としたが――その後に魔女殿が来たしな」
結局落としたのか!
ロイズ、あとで後遺症とかないか調べてやらねば。
「仲悪いわね、あんたたち。まあ、無理矢理仲良くしろとは言わないけどね? 人間関係はもうちょっと円滑に」
「……」
「仲といえば、あんたもしかしてアンニーナと仲良くなってない? いつの間に親交を結んだの? まあ、あの魔女は手が早いから……あ、もしかして喰われちゃった?」
――場を和ませようと思ったのですよ。
ただの冗談です。
本気で思った訳ではなかったのです。
「ブランっ」
ギっと睨んで怒鳴られる。

あたしはびっくりしてしまった。
確かに怒りっぽい男だが、なんだか今日の不機嫌は度が過ぎてやいませんかね? 
それにどちらかといえば、あんたのデフォは低く唸るような怒りであって怒鳴るのはちょっと違うのよ。
あんまりびっくりしたものだから、あたしの小さな体が文字通り跳ね上がった。
エイルはぐっと手を伸ばしてあたしを攫み上げると、部屋の片隅に描かれている魔法陣の中にあたしを放り込んだ。
 みぎゃんっと妙な声が出てしまう。

確かに人間にしろとは言ったが、乱暴すぎですよ!
瞬時に緑色の魔道の光が立ち上り、エイルの低い詠唱と増幅装置とが発動する。
あれ、いつもと違う――更に呪文を重ね合わせるエイルに、あたしは瞳をまたたいた。


やがて光が収束し、肌に直接触れる外気にあたしはふるりと身を震わせた。
ぺたりと床に座ったあたしは顔をしかめる。
「服!」
何か用意しておいてくれないとね、色々困るんですよ。
わかりますか、ダーリン?
こちとら天然ファーな生き物なんですよ。
子供の姿でも羞恥心くらいはありますよ。

あたしの不機嫌な口調に肩からばさりと外套が掛けられる。あたしは唇をとがらせながら上着を押さえ立ち上がり――首をかしげた。
「あれ、背が伸びてる?」
普段のミニブランであればエイルの腰よりも少し大きいサイズ。だが今はエイルの胸の辺りが見えている。
 本来のあたしならエイルの肩口だから、本来の自分よりはやっぱり幾分小さいけど。
「あれ?」
「――呪文を重ね合わせてその程度か」
嘆息気味に呟く。
「無駄に魔道を使ったな」
苛立つように言うが、あたしにしてみればこれはスゴイ。

スゴイ、スゴイよダーリン!
魔道を重ねてあたしを大きくすることができるなんてっ。なによぉ、そんなことできるんであればもっと早い段階でちゃっちゃっとやってくれれば良かったのに!

浮かれまくったあたしだったが、その時はもううっかり忘れていたのだ。
――この根暗魔道師が物凄く怒っていたことを。

***

つづく?
当然のようにこの次の話しもボツになってます。

ははははは。

この前後5話分くらいが完全ボツなんですわー、えらいことですね。
微妙に同じ、でも違うでしょ?
当然、この後はエイルさんの大激怒シーンなワケですわ。



2010年07月03日 (土) | 編集 |
ひそかに人気の(笑)エルディバルト。
もう地下牢から出る許可は発布されておりますが、哀れな彼はまだ知りません。

だってルティアはシュチェエーション萌えなのです!!!
ってコトで、書いたはいいけど「……ばかすぎる」とボツになった地下牢ネタ。

***

「幸せそうで何よりですねー」
 朝、アマリージェは激しく脱力していた。
朝食のプレートを地下牢に運ぶのはアマリージェの仕事だ。もちろん家人に任せれば良いのだが、相手はエルディバルト――竜の守護騎士の位を持つ相手には敬うべき態度というものがある。
 もともとの家格も遥かに上だ。アマリージェなどと到底会話すらできないような相手。
だが子供の頃から知っている為に、その関係は実際には随分と砕けている。

 だからといってこんなシーンはどうだろう。
地下石牢――堅固な鉄の檻の中にある質素な寝台。もともとの罰則中の男ともう一人、ふわふわ癖毛の女性が全裸で――おそらくそうだろう、毛布から出ている肩口には白い肌。
「おはよー、マリィ」
「……食事、もう一人分必要ですか?」
「私は食堂で食べますから良いですよー」
「そうですか。では」
 会話の途中でエルディバルトは目覚め、青ざめ、
「マリー、マリー、まてっ、これには理由がっ。私はっ」
「幸せそうでいいですねー」
 あきれ果てる。
「頼むっ、公にはっ、公にだけはぁぁ」
「はい。公にだけはちゃーんと包み隠さず報告しておきますね」
「やめてくれっっ」
 慌ててシーツを下半身に巻くようにして立ち上がろうとし、そうすると今度はルティアの肌がさらされる。こんな場でシーツは二枚もないのだ。
「エディ様、寒いですわよー」
 おろおろとする男のあまりのこっけいぶりに、アマリージェは冷たい笑みを浮かべてしまった。

 自分は結婚しない。しなくていいかもしれない。男なんて情けない。
ひそかにそんなことを思ってしまった。
――昔はもっとエルディバルトも格好良かった……よかった、好きになったりしなくて。

***

勿論、夜中に地下牢に入り込んでエルディバルトを襲ったのはルティアです。

「地下牢は寒いですから、ルティがあっためてあげますー」
「いらんっ、いらーんっ」

と夜中にやってる様を想像してみました。
あっためるより出してやれ、ルティア。

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